美容師という職業において、「手荒れ」とは切っても切れない関係にあります。
特にアシスタント時代は、常時シャンプーをする様な日があったりするため、手にとって良い環境とは言えません。ひどい人では美容師を辞める原因となることまであります。そんな美容師の手荒れの対策には、どんなものがあるのでしょうか?
本記事では美容師さんの手荒れに関する情報をご紹介します。
手荒れの原因は何?
美容師を含めた全ての人に当てはまりますが、
・シャンプーとドライヤー
手荒れの原因は、やはりシャンプーやリンスなどの化学薬品が入ったものや水やお湯に触れている時間が長いことでしょう。美容師はひんぱんにお湯を使ってシャンプーします。
常にお湯にふれることで、せっかくの皮脂膜が洗い流されてしまい手荒れを引き起こしてしまいます。特に新人のうちは営業時間中にひっきりなしにシャンプーをします。
シャンプーするごとにお湯で手を濡らし、シャンプー液の刺激を受け、ドライヤーで手を乾燥させていることになります。シャンプーを重ねるごとに刺激を受けるので手荒れのリスクは高まります。
・カラー剤・パーマ剤
美容師はお客様の髪にパーマ剤を使ったり、カラー剤を塗布することも多いかと思います。これらの薬剤というのはpH値はアルカリ性がほとんどであり、肌に良いものではありません。
また、これらの中にはジアミンなどの化学物質が含まれています。お客様の中でもこれらの物質が肌に合わず、頭皮トラブルを起こす人もいるように、美容師の手もこれらの物質が体質にあわず、皮膚トラブルを起こす人は多いです。
・アレルギー
手荒れの原因が化学物質やお湯などの外的刺激でなく、生まれつきアレルギー体質という場合もあります。また、中には生まれながらのアトピーという場合もありますので、あまりひどくならないうちに皮膚科に行って、検査をしてもらうことをおすすめします。
具体的な最初の対処は「病院に行く」
・ひどいようなら即皮膚科を受診しましょう。
自己流の治療方法では、まず、そもそもの手荒れの原因がわからなかったり、一時的な治療だったりということが多いですが、皮膚科に行くと、患部を含めて全身や血液検査をして原因を追求してくれるので、根本から治療をすることができます。
・自分に合った皮膚科を見つけることが大事
手荒れの原因はシャンプーやカラー剤やパーマ剤などさまざまですが、きっかけにはなることはあっても、必ずしもそれ自体が原因でない場合も多いので、
1 話をちゃんと聞いてくれる
2 荒れてる部分も含めて全身をしっかり診察してくれる
3 今後のプランを明確にしてくれる
4 美容師という職業や環境に理解があり、合わせた治療法を提案してくれる
5 必要な分だけの血液検査
などの先生が名医だと言えます。また、重症の場合はステロイドも使うこともあり、かなり強い薬なので、ちゃんと説明をしてくれる先生がいいでしょう。
・皮膚科で処方される治療薬
手荒れの初期段階で皮膚科に行くと漢方薬が処方されますが、漢方薬そのものに治す力はありません。何をしてくれるかというと、指先の血行を促し回復をサポートするのです。
もともと冷え性だったりすれば体質を改善することで手荒れしにくくなるかも知れません。とはいえ、重症化してからでは気休めです。
終始かゆみがあり水泡ができているようなら、抗アレルギー剤を処方してもらいましょう。特に症状がひどいときにはステロイドを含んだ薬が出されます。
効果はてきめんですが体への副作用があり、眠気を引き起こすので使用にあたっては医師に相談の上服用しましょう。
一番大切なのは手荒れにしないための「予防」
・プロテクトクリームをつける
手荒れの対処法として、プロテクトクリームをつける方法があります。これは化学薬品やお湯、水を使う前に手に塗って水分を弾くように手をガードします。これによって、薬品や水分が手について、毛穴から染み込んでいくのを防ぎますので、つけるとつけないでは格段の違いがあります。
・手袋をつける
2つ目の対策法としてはゴム手袋の着用です。お湯、シャンプー剤、パーマ・カラー剤に直接手が触れることによって手荒れが起こってしまうのであれば、ゴム手袋をしながら作業をすれば予防することができます。
ただし、シャンプーの際の手袋着用は賛否両論で、中には手袋をしながらのシャンプーはお客様に失礼という意見もあります。その場合は店舗でどういう方針にしているか、お客様はどう思っているのかを聞いて柔軟に対応するのがベストです。
・保湿クリームでケアする
手荒れを保湿クリームでケアするのも有効な方法です。一番の予防法はシャンプーの後にその都度保湿クリームを塗ることです。次のお客様にシャンプーすれば流れてしまいますが、それでも繰り返しクリームを刷り込みます。
水泡が破けてしまうほどの重症な手荒れには、保湿クリームも歯が立たない場合がありますが、保湿クリームを使うことで刺激から肌を守るバリアをつくりましょう。
また保湿ケアのための保湿クリームは、肌をプロテクトし、水を弾くワセリンと、保湿効果があり、角質を柔らかくしてくれる尿素の入ったものがよく効くと言われています。
・食べ物で体質改善する
体質改善に食べ物は欠かせません。
・手荒れには皮膚再生能力を助けるビタミンE(アーモンド、かぼちゃ、たらこなど)
・皮膚の抵抗力を強化するビタミンA(にんじん、ほうれん草、しそ、うなぎなど)
・コラーゲンの生産を高めるビタミンC(いちご、ゆず、レモン、ピーマンなど)
そして手羽先、エビ、なまこ、牛すじなどの健康な皮膚を作るためのコラーゲンを摂りましょう。しかし、食事を管理するのはとても大変です。美容師をしながらそこまでできないという方も多いでしょう。
そしたら、何を食べるか? より、何を食べない方がいいか? を考えましょう。インスタントなどを減らすだけでも体のためになるはずです。
美容師が使っているハンドクリーム
ロクシタン
手肌にうるおいを与える、ロクシタンのベストセラーが「シア ハンドクリーム」です。うるおうのにベタベタしない使用感、シアバターを高配合した贅沢な処方ですべすべの手を長時間キープ。
しかし、薬用ではないため、あくまでも手にバリアをつくり、水や薬品から守るタイプのクリームです。これ自体では手荒れを治すことはできません。
ポーラカエナハンドクリーム
化粧品メーカーのポーラが出すハンドクリーム。なんとウォータープルーフで美容師のために開発されたハンドクリームです。
無香料で保湿効果も高く、手がコーティングされているような感じで、このクリームを使いだしてから、クリームを塗る回数が減ったという口コミも多いです。
ユースキンA
日本の手荒れにはもはや「定番」のエーザイが発売するユースキンA。小さなポケットサイズから、コスパの高い大容量までさまざまなサイズがあります。ベタッとするかと思ったらサラサラのつけ心地も評判。ハンドの他に全身にも使えます。
キズ跡には紫雲膏(しうんこう)
漢方で使われる紫雲膏も美容師の手荒れにはよく効くと評判の軟膏です。その名の通り、黒っぽい紫をしています。手荒れをはじめ、やけどは切り傷などにも抜群に効きます。薬局でも買えますが、処方箋を出してもらって買うほうがリーズナブルといえます。
メンターム EXソフト
刺激に弱い乾燥肌のための低刺激ハンドクリーム。保湿力を高める「ワセリン」「グリセリン」が乾燥した肌をなめらかに、かゆみ止め成分「ジフェンヒドラミン塩酸塩」「リドカイン」がかゆみを抑えることで、乾燥対策とかゆみ対策を同時に行ってくれます。
どんなにかゆみがひどい時でも、これを塗ることによって大概は緩和されます。かきむしって荒れてしまった肌にもやさしい低刺激なので、お子様や女性でも安心して使うことができます。ただ医薬品ですので取り扱いには注意が必要です。心配な方は必ず医師に診ていただいてからご利用ください。
ニューウェイジャパン ナノアミノ ハンド&ネイル リペア クリーム
美容師の支持率NO.1の実力派ハンドクリーム。保湿効果の高いセラミドを10億分の1に小さくした“ナノセラミド”がすばやく肌に浸透し、手荒れを即効修復・再生・予防までできる神ハンドクリーム!また使い続けることで手荒れ・老化の防止までしてくれます。
さらっとしたテクスチャーで塗った直後、すぐさま手に浸透し始めるので、後からべたつくことはありません。一本でネイルケアまでできて、香りもきつくなく、とても使いやすいです。
MAクリーム・馬油
東京大人気美容師、グリコのエザキヨシタカ監修の馬油MAクリームです。
手荒れに悩むエザキが、どのハンドクリームをつけても荒れていた手が馬油をつけたら治ったというところから作られました。
たった2つの自然由来成分しか配合していないため、肌に負担がなく、皮脂成分をそのまま肌に届けられる美容保湿クリームです。手だけでなく、ブースター、ヘアケア・地肌ケア、デコルテのケア、メイク落とし、まつげのケアに、とあらゆる事にお使いいただける優秀アイテムです。
手荒れが痛いときの応急処置は?
・おすすめの液体絆創膏
コロスキン(東京甲子社)【第3類医薬品】
包帯いらずの液状ばんそうこうが、東京甲子社の第3類医薬品「コロスキン」です。透明な皮膜で小さな切り傷、あかぎれ、さかむけをガード。
塗ってすぐは一瞬染みますが、乾くと水仕事をしてもはがれにくく水やバイ菌から傷口をガードしてくれます。
まとめ
職業柄、どうしても避けることが難しい手荒れ。手荒れの悪化が原因で美容師の仕事を辞めざるを得ないというケースは意外に多くみられますから、美容師の職業病として上手につきあっていくことが必要です。
体質は人それぞれ違うので、自分に合った手荒れとの上手な付き合い方、対処法を見つけることが大切です。できる限りのことをやってみて手荒れを予防してください。
そして、ひどくなってしまったらすぐに皮膚科へ。専門医に症状に合った薬を処方してもらうことで、手荒れの悩みから少しでも解放され、仕事を充実させていきましょう。