セレブスタイリストインタビュー2 〜NEILさん〜

今回は、ビバリーヒルズ/ハリウッドエリアの中でも1位2位を争う超高級サロン「MeĆHE」オーナー/スタイリストのNEILさんにお話しをお伺いしました。顧客の中にはモデルのハイディ・クルムもおり、その他にも多くのセレブを手がけているセレブスタイリストです。


YUKA(私):
どうしてスタイリストになろうと思ったのでしょうか?
NEILさん(以下敬称略):
最初はファッションに興味を持っていましたが、16歳のときにファッションに関わりながら仕事のできるスタイリストになることを決めました。

YUKA :
どちらの美容学校に行かれたのですか?
NEIL :
僕はイギリス出身なのですが、イギリスでは、スタイリストを目指す場合、美容学校に行くよりアシスタントプログラムに参加します。そこで、僕はロンドンにある「ダニエル・ハリソン」という高級ヘアサロンで『アプレンティスシッププログラム*1』に参加しました。イギリスでは、どれだけ有名なサロンで働くかが重要で、そのサロンはイギリス王室の対応もしていました。通常は、アシスタントから始めると、3年でフロアに立ち、スタイリストとしてデビューできるのですが、私は16歳からスタートし、19歳の時には「ネベル・ダニエル」というサロンで、ヘアスタイリストとしてデビューをしました。そこは、とてもヒップなサロンで、モデルやセレブが訪れるサロンでした。

YUKA :
何故、ビバリーヒルズで働き始めたのですか?
NEIL :
ある女性から、ビバリーヒルズに来た方が良いと勧められたました。実際にビバリーヒルズに来たら、文化もファッションもとても素晴らしく、一瞬でロサンゼルスに惚れてしまいました。ロサンゼルスのファッションは、ロンドンに比べてもっとカジュアルな感じで、僕にはとても合っていたし、そういうことを含めてロサンゼルスは最高の街だと感じました。とにかく、ロサンゼルスはラフでファッショナブルな雰囲気があり、かっこいいジーンズとTシャツを着て、髪型もカジュアルでおしゃれだと思いました。

YUKA :
ビバリーヒルズに来て困ったことはありましたか?
NEIL :
どんなキャリアでも、一から始めるのは難しいと思います。ロンドンでは有名だったけどこっちに来たら、僕のことなど誰も知らないし、インスタグラムなどのソーシャルメディアもなかったから、お客様に来てもらうことも難しかったですね。何より僕と一緒に働いてくれるスタイリストを探すことが、最初は一番苦労しました。僕がアメリカに来たのは25歳のときで、仕事のツテがあるわけでもなく、家族や知人もいませんでしたから、とても孤独で大変でした。ただ、僕にはスタイリストとしての自信だけはあったんです。そして、ありがたいことに、アメリカに来て、すぐに忙しくなり、時間が経つとともに、自然に人のネットワークが拡がっていきました。

YUKA :
ヘアスタイリングをしていて何が一番楽しいですか?
NEIL :
女性をキュートでセクシーに、そして笑顔にさせることが好きです。お客様を本当に満足させることは簡単ではないけれど、その人をよく観察して、その人のことを心から美しくしたいと思うと、いろいろな発想が湧いてくるんです。それってスタイリストにとって、重要なことだと思います。人を理解することは、簡単なようで一番難しい。理解しているつもりになっている人が多いのですが、それは結果になって現れます。どんなに高級なブランドの服を着せても似合わない人には似合いません。顔と髪だけを見ていてもダメなのです。その人のファッション、スタイル、パーソナリティを見極めてから、その人に合うヘアスタイルを決めることができると思うんです。ですので、自分にばかり興味を持っていてはいけません。他人にも自分と同じように興味を持つことが大切です。お客様にどれだけ特別な思いをさせてあげられるかが大事で、そのためにお客様を理解することが重要なのです。

YUKA :
ヘアアーティストとしての哲学は何ですか?
NEIL :
ワンパターンなスタイリストでは成功できません。多才であるべきです。人それぞれのシェイプを創造し、さらに様々なシェイプにアレンジしていくことができるスタイリストが本当に成功すると思います。

YUKA :
カラーリストではなく、なぜヘアカットとスタイリングのアーティストになったのですか?
NEIL :
実はカラーをすることが好きではないんです。カットとスタイリングは料理とに似ています。カラーは原料ありきと言いますか、料理で例えると、オーブンを使用している感じがします。カットとスタイリングは料理のような遊び心を取り入れられるけど、オーブンで料理をする場合は、原材料が最も重要になるでしょう。工程で言えば、髪をカラー剤につけて、40分間ほど置いて洗い流して乾かします。一方、料理は手先を使って包丁を操り、味付けをする必要があります。カットとスタイリングの方が、創造力や細かいテクニックが必要だと思うので、私はカットとスタイリングの方が好きです。

YUKA :
MeĆHE Salonはどのようなコンセプトで、どのように成功していったのでしょうか?
NEIL :
僕のパートナーであるトレーシーは、最も成功しているカラーリストの一人で、世界中にその名を知られています。僕は、素晴らしいカラーリストと組んでコンセプチュアルなサロンを創りたかったのです。僕達は、週に5日間必ずサロンに来て仕事をしていました。お店に名前をつけて、たまにしか来ないオーナーサロンとは異なり、日々、アーティスティックでスタイリッシュな品質を定着させる努力をしてきました。他のスタイリストに僕達のスタイルを強要したことは一度もありません。でも、特別な才能を持っているスタイリストが集まってきていると思います。ちなみに、カットもカラーも両方行うスタイリストはうちにはいません。カットまたはカラーのスペシャリストが集まっています。それは、チームワークがサロンにとって一番重要だと思っているからです。小さなサロンでは全部の仕事を一人のスタイリストがやることも多いけど、皆独立して、お客様を独り占めします。そうすると、個人だけが活躍しサロンの良さが失われていくと思います。

YUKA :
顧客にセレブはいらっしゃいますか?どんな方たちがいらっしゃるんでしょうか。
NEIL :
シャーリーズ・セロン、ジェニファー・ロペス、ハイディ・クルム、ジェニファー・ガードナー、キャメロン・ディアスなど、名前を挙げたらキリがないですね。これは、良いサロンの一つの証であると思いますよ。良い技術とサービスがこのような結果につながっているのでしょう。実際、うちのサロンには多くのセレブがいらっしゃいます。あまりこういうことを言うのは好きではないけど、多くのセレブに来店していただくことで、より多くのお客様がいらっしゃってくださっているとも思います。

YUKA :
日本に行ったことはありますか?
NEIL :
一度も行ったことはないけど、いつか行ってみたいですね。今日もBBCのニュース番組でやっていたけど、日本には多くの文化があり人気も高いですが、東京と大阪は願ってもなかなか住めない都市のようですね。

YUKA :
スタイリストを雇う際は、どういった点を重要視していますか?
NEIL :
そのスタイリストが優しい人間か?そしてホスピタリティがあるのか?に注目します。その人の心が重要で、プライドばかり高くてはダメです。手を取り合って仕事ができるかが大切で、それから技術的な才能をみます。良いエネルギーであることが重要なのです。

YUKA :
これからセレブのスタイリストになる方々にメッセージをお願いします。
NEIL :
まず、第一に、謙虚になりなさい。第二に皆と仲良くすることです。最後に、つらいことがあっても、頭をさげる勇気や我慢をすることも重要です。

[1] アプレンティスシッププログラム
美容学校に行く代わりにサロンでアシスタントをしながら勉強をし、美容学校卒業と同じ権利を取得できるプログラム。アメリカにも同様のプログラムがある。


◆感想
日本では知られていないかもしれませんが、NEILさんはビバリーヒルズやハリウッドの一流スタイリストに聞くと、3本の指に入る超有名セレブスタイリストです。彼のメッセージに、セレブスタイリストとして、重要なポイントに「謙虚」とか「仲良く」というキーワードが出たのには少々驚きましたが、今まで私が見てきた中でも、人気も単価も高いスタイリストは、皆さん、謙虚でホスピタリティーが高いです。対して、プライドばかり高いスタイリストは、なかなか成功できず、環境やサロンのせいにしてしまいます。セレブスタイリストになるためには、意外なようですが、NEILさんがおっしゃっているようなことが重要だと思います。日本人が本来持っている気持ちを失わないことが、ここロサンゼルスでも大切なのです。

◆NEILさんに学ぶセレブスタイリストになるための3つのポイント
・いつも謙虚であること。
・皆と仲良くする。仲間を大切にする。
・頭をさげる。感謝の気持ちを忘れない。

◆NEILさんが勤務している店舗情報は以下になります。
MeĆHEオフィシャルサイト
https://mechesalonla.com

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