日本で美容師をしていて、シャンプーブローのお客様を月に何名担当しますか?おそらく、ほとんどの美容師さんは数名ではないでしょうか?それが海外になるとガラッと状況が変わります。
海外では「ヘアサロン行ってきました!」という感じが好まれる
日本人のお客様が好むヘアスタイルは、基本的にナチュラルです。それ故に日本の美容師さんは「ブローをしないで、乾かすだけで簡単に仕上がるヘアスタイル」を心がけてヘアスタイル作りをします。その反面しっかりブローをして仕上げる習慣がないのでブローのスキルは低くなりがちです。
ですが、海外のお客様が好むヘアスタイルは「ちゃんとヘアサロンに行ってきました!」というヘアスタイルが好まれる傾向が強いです。また、ちょっとしたディナーやお出かけの前に、オシャレ(身だしなみ)の一環としてシャンプー&ブローのメニューでサロンを利用される方も多い傾向があります。
海外と日本の文化の違い
シャンプーとブローなんて自分でしたらいいじゃないと思いがちですが、それは日本での常識です。白人の髪は細くてやわらかく、いわゆる猫っ毛なので絡まりやすい。なので、ブローでボリュームを出すことがとても大事なのです。そのため、アメリカではブローのためだけにヘアサロンに通う女性が少なくありません。
家ではシャンプーをしないで、週に2、3回はヘアサロンでブロー(シャンプー付き)をする人もけっこういます。とくにブロンドの人は、自分でブローするのに手間がかかり、ボリュームを出すことが難しいので、ヘアサロンに頻繁に通う人が多いです。
近年の日本の変化
アメリカではブロー専門店などが流行っていて日常的に美容室に行く文化があるのですが、日本では平均2ヶ月に1回、髪を切りに美容室に行くのが一般的です。ですが、美容室業界では近年、顧客の利用目的に大きな変化が起きています。
カットやカラーがほぼ唯一の利用目的であった数年前と比べ、現在は、「シャンプーブロー」や「トリートメント」「ヘッドスパ」を利用する人が徐々に増えています。トリートメントやシャンプーは、家でもできるとはいえ、美容室との仕上がりの違いに感銘を受け、髪が綺麗になることで自信がつき、リピーターになる人も多いようです。
シャンプーとブローだけにこだわった専門サロン
ニューヨークやロサンゼルスなどで人気の新しいライフスタイルを提案するヘアサロン“ブロードライ・バー”を日本で初めて取り入れたヘアサロン「JET SET DRY BAR」が2014年11月東京・南麻布にてオープン。「Jet Set Dry Bar」代表・Julia Spotswood氏は、海外では気軽にシャンプーだけをしに行けるDry Barでしたが、前職で日本に転勤してきた際にそういったコンセプトのサロンがないことを知り、忙しい日々を送る中で気軽にシャンプー・ブローだけをしに行ける場所を日本にも作りたい、という思いからサロンオープンに至りました。
「Jet Set Dry Bar」は、一般的な美容院のようにカットやカラー、パーマをするのではなく「シャンプーとブローだけ」にこだわった専門サロン。経験豊かなスタイリストによるシャンプーとブローで、極上でクイックなサービスを体験できる。店内にはバーカウンターが設置されており、“ブロードライ バー”というスタイルで、シャンパンやハーブティーなども提供。
シャンプーセットの間も、至福なひと時でリフレッシュできます。価格は、「シャンプー+ブロー+ヘアセット(ダウンスタイル)」3,950円。
定額制美容サービスアプリ「MEZON」
近年のスタートアップのビジネスモデルとして、注目されている「サブスクリプション(定額制)」。映画配信や音楽など、私たちの生活に根付いて様々なジャンルのサブスクが、生活を豊かにしてくれています。
その中でも、少し珍しい“美容室”という利用頻度が限られた場所を、サブスクにすることで日常的に通う場所へと変化させ、美容業界の中で新たな産業を生み出そうと試みる「メゾン」は2018年3月スタート、スマートフォンで無料アプリをダウンロードして利用しています。
提携する美容室の中から当日の予定や目的に応じて店を選択、美容師を指名することができます。提携をしている厳選した美容室のシャンプー・ブロー・ヘアケアといったカット・カラー・パーマ以外のヘアメンテナンスメニューが月額16,000円〜から受け放題のサービスを提供しています。
現在、提携の美容室の数は180店舗を超えており、エリアも東京だけではなく、名古屋・大阪・沖縄といったエリアにまで拡大をしています。ユーザーの8割は“働く女性”となっており、30代半ば〜40代前半の方を中心として、20代から60代までの幅広い年齢層の方が利用しており、現在8,500人のユーザーがMEZONに登録をしています。(2019年4月時点)
まとめ
アメリカではシャンプーブロー専門サロンが急増しているなど、シャンプーブローを重視する文化がすでにあるようですが、日本ではそういったことがまだありません。そのため、シャンプーブローだけ、トリートメントだけで初めての美容室を予約するのは気が引ける、とためらいを感じる人が大多数なのが現実ですが、少しずつシャンプー・ブローなどでサロンに通う文化ができつつあります。
また、グローバル時代に突き進む日本でも、海外のお客様は増え続けています。お客様の120%の満足を引き出すためにはクオリティの高いブラシ・ブローが必須のスキルになってきています。