床屋さんと美容室、どちらも「髪を扱う」ところですが、どこが違うかわかりますか?
真っ先に思い浮かぶのが、シャンプーするときのことで、床屋さんは前かがみで美容室はあお向けです。また、男性が行くのが床屋さんで女性が通うのが美容院と言うイメージがあるかも知れません。
でも、実は床屋さんと美容室は法律的にもまったく違います。そこで、床屋さんと美容室の違いや、どう使い分けたらいいかなどについてまとめてみました。
床屋と美容室の法律的な違い
床屋の理容師さんと、美容室の美容師さんが違う免許を持っているのはご存知の方も多いでしょう。理容師は理容師免許、美容師は美容師免許が必要と法律的な扱いが分かれています。
これは単純に免許の名前が違うというだけではありません。そもそも、理容と美容では目的が変わってきます。
理容:頭髪の刈込、顔そり等の方法により容姿を整えること(理容師法第1条の2第2項)
美容:パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により容姿を美しくすること(美容師法第2条第2項)
これが、理容と美容の法律的な定義です。シンプルにイメージするのであれば、理容は男性向け、美容は女性向けといったところでしょう。ですが、かなり昔に作られた法律です。
現状で考えるなら、これらはあくまで建前。床屋では昭和40、50年代からパンチパーマに代表される男性向けパーマが施される様になっています。また、美容室でもご存知の通り、男性の髪も切るイメージが定着しています。
現在では床屋で出来る事、美容室で出来る事にはほとんど差が無いと言っても差し支えが無いでしょう。
プロの方曰く、理容師と美容師の違いは、「カミソリが使えるか否か」
床屋に行くと、髪を切るだけでは無く、ヒゲや顔周りの産毛を剃ってもらえます。「顔剃り」つまり「カミソリを使えるかどうか」が床屋と美容室の一番大きな違いです。
最近では法律が変わったことで美容室でも「化粧目的での軽い顔剃り」を行っている所も多いらしく、この違いも若干薄くなってはいます。しかし、今でも男性の髭を剃れるのは、刃物を扱う勉強をしている理容師だけです。
美容師と理容師のこれから
ただ、2015年のルール緩和によって、美容師と理容師が互いに少しずつ近づいてきています。従業員全員が美容師と理容師の免許をどちらも取得していれば、理容師と美容師は同じ店で働けることになりました。
ですが、美容師の免許と理容師の免許の両方を取得するのは困難です。そこで、現在厚生労働省では、専門家たちの間で片方の免許を持つ人がもう片方の免許を取りやすくするための制度作りについて話し合いがなされています。
「美容室」と「理容室」の見分け方とは?
「美容室」と「理容室」、違いは分かったけれどもどう見分ければいいの?と思われるかもしれませんが、実は簡単に分かる方法があります。
「赤・青・白」のしま模様がクルクルと斜めに回転するサインポールが店先にあれば、そこは「理容室」です。また、料金表などに「顔そり」表記があり、上記のようにシャンプー代も別料金になっていなければ、ほぼ100%「床屋」さんです。
どちらもない場合は店内を覗いてみれば大体わかります。お客さんに圧倒的に男性が多ければ「床屋」である可能性大です。
カット料金の安いのはどっち?
カット料金は「床屋」さんの方が安いです。それぞれの平均的な価格を以下に挙げていきます。
美容院: 平均4000~6000円前後
床屋: 平均2000円前後
さらに美容院ではオプション料金となる「シャンプー代」も床屋では込みで上記の料金です。顔そりももちろん込み。美容院では上記の料金プラス「シャンプー代」となるところが多いようです。
床屋と美容室の使い分け
美容院に行く男性も増えて来ている今、床屋と美容院はどんな風に使い分けたらいいでしょうか?床屋と美容室には大きな差はありませんが、働いている理容師さん、美容師さんには学生時代に学んだ事に違いがあります。
理容学校では主に男性向けの刈り上げを中心としたカット方法や、小さなロッドによるパーマのやり方の実習に取り組むそうです。
それに対して、美容学校では女性向きのミドルからロングレングスのカット方法、ゆるいウェーブをかけたパーマなどの実習が主です。
仕上がりの違い
美容院と床屋では、明らかに仕上がりの違いがあります。美容院はとにかくお洒落でトレンド感を意識している髪型を中心に提案しています。
一方で、床屋は黒髪で男らしくてワイルドな髪型を提案しています。それに床屋は比較的、パリッとした髪型が多いです。そのため、床屋は髪を切って「キッチリ」した髪型にしたいときに向いており、カミソリとバリカンでもみ上げや襟足を整えてくれるのできちんとした印象になります。
リーゼント・オールバック・アイパー・パンチパーマなども、床屋さんに行った方がいいですね。逆に、美容院で提案している髪型は柔らかく束感を意識したお洒落なヘアスタイルが多いので、繊細なカットやラフな仕上がりを求めるときは、男性も美容室に行く方が良いかもしれません。
ただし、理容師でも美容技術を身に付けている方はいます。また、美容室は競争が激しく、差別化として男性向きのカットが得意な美容師さんも増えてきています。
まとめ
まとめると、床屋・理容室ではシェービングができる、美容院・美容室ではヘアセットやメイクができるといった違いがあります。
また、美容師は髪をおしゃれに美しくすることを目的とし、理容師は髪を上手に切り整えることを目的にしています。それを踏まえて、自分の好みに合わせて美容院と床屋を使い分けてみるのはいかがでしょうか。